今までワイン産地としてのジョージアについては情報がとても少なく、「世界最古のワイン産地の今」を日本語で知る手がかりはありませんでした。
ジョージアは世界ではじめてワインが生まれた場所。
2013年、母なる大地が宿すジョージアの伝統的な甕仕込みワイン製法がユネスコ世界無形文化遺産に登録されました。
ジョージアではクヴェヴリは形状からしてまさに母胎であり、「ワインを造る」とは言わずに「ワインを育てる」と表現します。
さまざまな侵略やイスラムの支配にも屈せず、過去からずっと途切れることなく、自宅内や畑のそばの地中に埋められたクヴェヴリ(甕)でワインが育てられます。
ジョージアの人々にとって自家醸造の「我が家のワイン」は常に喜びの源泉なのです。
しかし、一方で最古のワイン造りの伝統も農業の近代化の中でどんどん効率化が進んでいます。
伝統を守り続けてきた少数の生産者達は、失われつつある真正な栽培と
伝統的なジョージアのワイン醸造を未来に残すべく、有機農法で栽培した在来品種で培養酵母や酵素(醸造補助物質)を使わずに、クヴェヴリで伝統的な手法で醸造することを規約にしたクヴェヴリワイン協会を設立しました。
本書は、アラン・ロベールやジャック・セロスなど、今では入手困難な生産者を見つけ出して広めてきた日本における自然派ワインの第一人者、ラシーヌの合田泰子氏の全面バックアップの元、寄りすぐりのクヴェヴリワイン生産者を紹介。
また、ワインページ では、キシ、ムツヴァネ、チヌリ、チュハベリといった葡萄から醸造したクヴェヴリワインをワインライターの北嶋裕氏が紹介。
フードページでは、ジョージアのクヴェヴリによる伝統なワイン製法がユネスコ世界無形文化遺産登録への道のきっかけを作ったノンフィクション作家の島村菜津氏がヒンカリやハチャプリ、ハルチョーなど、ジョージアならでは食や文化について紹介。
一部料理はレシピも紹介します。
クヴェヴリワインの生産者や畑のこと、甕仕込みや道具、プライベートな素顔など、世界的に長寿の国としてお年寄りが元気に暮らすジョージアの食文化についてわかりやすくまとめた一冊です。
[著者]合田泰子、島村菜津、北嶋裕(著)、塚原正章(監修)
[発行所]株式会社誠文堂新光社