ル・トン・デスリーズ
Le Temps des Cerises
オーナーのアクセル・プリュファー氏は東ドイツ出身のワインと音楽と映画を愛する平和主義者。ドメーヌ名もドイツとフランスの戦争をきっかけとした悲劇から生まれたシャンソンの曲「ル・トン・デ・スリーズ(さくらんぼの実る頃)」から名付けたそうです。
兵役を嫌って安住の地を求めたどり着いたのがラングドックだったそうで、フラール・ルージュのニック氏やラングロールのエリック氏らとの出会いをきっかけにワイン造りやそれにかける情熱を学び自身もヴィニョロンを志したそうです。
古い醸造所を購入し使っています。
カーヴの扉にはドメーヌ名のさくらんぼの絵が。
現在は10haの畑をお一人で管理しているそうですが、将来的には目が行き届く範囲の6ha位にしたいとのこと。
収穫したブドウはさくらんぼ用の小さなコンテナに入れてブドウが潰れないように細心の注意を払っています。
また、収穫自体も4回に分けて行うことで酸と熟度の両方を得ているといいます。
醸造中もストレスを与えないために重力で液体を移したり、なるべく自然な素材がいいという考えから木製の発酵槽を使用しているそうです。また、還元的な香りがしたり、納得のいかない味だった場合は良くなるまで“待つ”こともあるそうで、小さな生産者にとってはその分収入が入らなくなってしまうのでなかなかやりたくてもできないことだと思いますが、それとも真摯に向き合っていることに脱帽するばかりで、こういった手間暇から彼のワインに共通して感じるピュアさや透明感が生まれるのだとわかりました。
彼のワインの造り方で珍しいのはシャルドネを除梗せずにマセラシオンする点。
これによって、フレッシュ感と香りが出てくるんだそうです。
イタリアなどでは除梗してマセラシオンした白ワインは多いですが彼のような造り方は実はあまりないそうです。固定観念にとらわれず、色々な試行錯誤を繰り返しながら、ときに忍耐強く待ち、ときに偶然を味方につける。
そんなことも彼のワインの隠し味になっているのかもしれません。