名前の由来はギリシャ神話に登場するオデュッセウスの旅ですが、知の探求の意味もあります。ナチュラルワイン造りも苦難と冒険、思考の旅と考えておりその意味も込めて。このワインにおける収穫から醸造で、パイユを造れる年は極めて限定されており、葡萄の樹に付いている状態で酸化と乾燥がかなり進んでいる必要があると悟ったそうです。この年以降、パイユを造ったのは2015年のみとなります。オレンジがかった琥珀色で、黒葡萄で造ったとは思えないほど色調は赤からはほど遠い色合いです。ラムレーズンや白レーズン、ビターカラメル、カカオ、メープルシロップ、コリアンダー、ナツメグ、クローブなど凝縮感のある果実や芳ばしいビターな印象、スパイスなど複雑な香りが漂います。甘口ではありますが、張りのある酸があることで口当たりは意外にさらりとした馴染みやすい印象で、滑らかに口中へと流れ込みます。ビターカラメルのようなほろ苦さとラムレーズンから溢れ出るような甘やかな風味、加えてパンデピスなどのスパイシーさが溶け込み、複雑性のある大人びた印象で、酸とビターな風味が甘さのバランス整えながらほどよい甘みが広がります。余韻にはクリームブリュレのようなビターカラメルとまろやかな風味が優しく続き、魅惑的でリッチな印象が残ります。
ジャン・フランソワ・シェネの家系は代々葡萄生産者で醸造はしていませんでしたが、グリオットのワインを飲み「なんて素晴らしいんだ」と感じた事が大きく影響して、父親より畑を4.5ha分けてもらい2005年から醸造をスタートしました。まだ若い生産者ですが、非常にヴァンナチュールに対する信念が強く妥協を許さない人です。
現在はレ・ヴィーニュ・ド・ババスのセバスチャン・デルヴューに教えを受けながら葡萄の様子を見極め、それに合った造りを研究しているそうです。
残念ながら2018年ヴィンテージを最後に新たな道へ進むことを決めたそうです。(インポーター資料より)
■ワイン情報
[産地]フランス ロワール地方 アンジェ
[タイプ]赤・甘口
[品種]カベルネ・フラン
[容量]500ml
[アルコール度数]18%
[栽培]ビオロジック
[醸造について]藁の上で陰干し。プレスした時点で前回とはジュースの香りがまるっきり異なることに気がつき、糖分や酸の凝縮感も異なっていました。バランスを取るために結果として10年に及ぶ樽熟成を経てリリース。
■ドメーヌ情報
[本拠地]フランス ロワール地方 アンジェ
[生産者]ジャン・フランソワ・シェネ
[所有畑]3.5ha
[栽培方法]ビオロジック
ナチュラルワインとはブドウの栽培が有機であることに加え、天然酵母での発酵、添加物を極力使わないなど人の手でコントロールせずに「限りなく自然に造ったワイン」です。
一般的に自然派ワイン、ヴァン・ナチュール、ビオワイン、オーガニックワインとも呼ばれることがあります。